会計基準と税務対応

リース会計基準と税務処理

リース取引会計処理


(設例)所有権移転外ファイナンスリース 期間5年 月額リース料100 消費税10
リース料総額(税抜)6000(税込6600)
リース会社の購入価額 4800(税抜)
    契約書上利息相当額が明記されていない。(利息相当額が明記されている場合はその部分についての消費税の仕入控除はできない。)

A.資産計上する場合の原則的な会計処理(利息相当額を利息法で配分)
(開始時)
  リース資産(課税仕入) 6000   /   リース債務  6600
    仮払消費税(課税仕入 600

    リース債務     1200   / リース資産(対象外)1200

(第1回リース料支払い時)
   リース債務     72       /   普通預金    110
     支払利息    38
B.資産計上する場合の例外的な処理(総額に重要性なし。利息相当額を定額法で配分)
(開始時)
A.と同じ

(第1回リース料支払い時)
リース債務   90         /   普通預金    110
支払利息    20
C.資産計上する場合の例外的な処理(総額に重要性なし。利息相当額を区分しない)
(開始時)
  リース資産(課税仕入) 6000   /   リース債務  6600
  仮払消費税(課税仕入)  600

(第1回リース料支払い時)
   リース債務  110        /   普通預金    110

D.資産計上しない場合(一資産20万円未満、または一契約300万円以下)
(開始時)
  リース資産(課税仕入) 6000   /   未払金  6600
  仮払消費税(課税仕入)  600

  未払金         6000   / リース資産(対象外)6000


(第1回リース料支払い時)
   支払リース料(対象外)  100   /   普通預金    110
   未払金           10






減価償却の経理処理と法人税処理

1.会計上資産計上する場合
リース会計基準では
償却期間=リース期間
残存価額= 0
償却方法=定額法、級数法、生産高比例法のうちから企業実態に応じ選択

法人税法では
償却期間=リース期間
残存価額= 0
償却方法=定額法(リース期間定額法)のみ

会計上リース期間定額法以外の処理だと申告調整が必要となる。会計上もリース期間定額法で償却するのが望ましい。
法人税別表16(4)リース期間定額法の計算明細書が必要。

2.会計上資産計上しない場合

 法人税法では賃借料として損金経理した金額は償却費として損金経理した金額に含まれる。申告調整不要。法人税別表16(4)作成不要。

資産除去債務の会計処理と税務調整

資産除去債務に関する会計基準が適用されています。
この会計基準によりBSの負債項目として資産除去債務の現在価値が負債計上され、資産項目として資産除去債務相当の有形固定資産とこれについての減価償却累計額が資産計上されます。(なおPLには資産除去債務に係る減価償却費と利息費用が原価または販売費一般管理費に計上され、また適用初年度においては過年度発生分が特別損失として計上されます。)
税務上はこれらの計上は一切認められません。
そこで次のような税務調整が必要です。

1.BSでの表示
資産除去債務の残高は負債の部で単独表示します。税務上はこの残高を別表4、5で調整します。
有形固定資産の科目内訳を作成し、有形固定資産と減価償却累計額を本来の取得価額に係る金額と資産除去債務に係る金額に区分します。税務上は資産除去債務に係る金額を別表4,5で調整します。

2.減価償却システムでの取扱
減価償却システムには資産除去債務に相当する部分は資産登録しません。これにより法人税の減価償却別表への反映と償却資産税申告書への反映が起こりません。法人税別表の期末帳簿価額=科目内訳書の有形固定資産本来の取得価額分―減価償却累計額の本来の取得価額分となっていることを確認する必要があります。